「IDEA FACTORY」は創造的生産性を高める良書

私たちはアイデアの時代に生きている。企業はすぐれたアイデアによって繁栄するか、それがないために衰退するか、ふたつにひとつである。

本書は20のSTEPで構成されており、アイデアについての基本的な原理を解説しています。各STEPから感銘をうけた言葉を1つずつ引用する形で、本書での学びを紹介していきたいと思います。

本書は中身が濃いため、本記事ではざっくりとした説明となってしまいます(汗)。ぜひ詳細が気になるという方は、購入して熟読してみてくださいね!

STEP1 アイデア発想は技術である

課題について考えるとき、3つのルールを肝に銘じよう。すなわち、「判断しない」「批判しない」「心のなかで対話をしない」

要は、アイデアを生み出す際には、分析的な左脳のスイッチを切っておき、創造的な右脳に考えさせる必要があるということです。

これらのルールは本当に破ってしまいがちで、自分で考えたことをアウトプットする前にフィルタしてしまうことが本当に多いことに気付かされました。

今まで、大量の「芽が出たかもしれないアイデア」をボツにしてしまっていたのかと思うと悔やまれます。

STEP2 潜在意識を働かせる

就寝の直前に課題について考えるのは「この問題の答えを探しているので、睡眠中に私の代わりにアイデアを生み出してください」と潜在意識に伝えるようなもの

潜在意識が最もよく働くのは寝ているときであるというのは、経験的に納得できる人も多いのではないでしょうか?

本書によれば、思ったよりも脳は優秀で、いま「向き合っていること」について寝ている間も無意識的に考えてくれているとのこと。

就寝前に、直面している課題について自分へ疑問を投げかけることで、寝ている間に潜在意識が解いてくれるかもしれません。バカにせず大いに期待してみる、ことがポイントかと思いました。

とくにコストもないし、解決できたらラッキーくらいに考えて絶対やるべきですね!

STEP3 自分に質問を投げかける

問題を明確にすることは、その解決策よりもたいてい重要である

この議論は、「イシューからはじめよ」という書籍でも(より深く)なされており、問題のレベルや真因を見極めていくことがポイントになる、と各方面で言われています。

本書では、問題の深めるための質問の投げ方として、「5回のなぜ」で抽象度を上げていく方法を挙げています。

今や有名な手法ですが、事例とともに分かりやすく解説してくれており、基本的な内容かもしれませんが、改めて重要さを認識できました。

STEP4 考えて休む

問題について忘れ、最も予期していないときに最も画期的なアイデアが浮かんでくる

これも多くの人が経験的に知っているのではないでしょうか。

本書によれば、明示的に一生懸命に考えた後は、潜在意識に考えることを任せることが、効果的な思考のプロセスだということです。

たとえば、残業して頑張ったのに解決策にたどり着けずに帰宅し、シャワーを浴びてる最中に、ふと良い解決策がひらめいた、なんて経験がそれに近いのかと思います。

なお、潜在意識に刺激を与え続けるために、今の課題について定期的に2-3分思い出すのが良いようです。

STEP5 アイデアの質より量を重視する

すぐれたアイデアマンが生み出すアイデアの大半はつまらないし、よくて平凡である

アイデアに関して、こういった逸話はよく聞くし実感もあります。

本書では、単純だけど効果的な方法として「目標数を設定する」というテクニックを紹介しています。

例えば、アイデア出しをする際に「30分以内に100個のアイデアを考える」などの制約を課すイメージです。それがどんなにバカげていても非現実的でもかまわないので、とにかく目標数を達成することを念頭に置いてやります。

STEP6 アイデア発想の要点を押さえる

この世に完全に独創的なアイデアというのは存在しないんだよ。すべてのアイデアが古いアイデアの組み合わせか修正だ。私が気にかけているのは、君の製品が人びとの生活を向上させるかどうかということだけさ

自分にとって、本書最大の気づき(というよりも、気づいちゃいたけど明確になったこと)です。

このSTEPでも語られている通り、アイデア発想は技術なんだと実感しました。

要は、毎日問題に集中して、思考や経験、雑多なアイデアをストックしておき、それらをランダムに組み合わせることで、すぐれたアイデアを生み出す確率が高くなるということです。

職場でもアイデア出しのブレスト会議を開催することはありますが、正直に言えば「その場で新しいことを考える」というイメージでいました。そのため、ほとんど準備せずに会議に臨んでいたため、「うーん、うーん」と時間だけが過ぎる会議が多かったです。

本書を読んでからは、アイデア出しは「既にあるものを修正、または組み合わせる」という考え方を意識するようになり、会議前の準備(材料集め、たたき台づくり)をみっちりとやるようになりました。それにより、会議の前にはアイデアの大筋が見えることも少なくありません。結果、会議では既に準備された材料を基に一歩踏み込んだ議論ができるようになりました。

「無から有を生み出そうとするのをやめた途端に、創造的生産性が何倍にも高まる」という、一見矛盾しているような本書の言葉の通りだな、と最近は実感しています。

STEP7 アイデアの原材料を集める

多様な人生経験を積めば、新しいアイデアをたくさん作り上げることができる

本書では、アイデアの材料を集めるために、旅行やお店に行ったり、勉強会やセミナーに参加したり、書籍やブログを読んだりすべきだと述べられています。

ただし、何でもかんでも面白いことを集めるのではなく、重要なのは「自分にとっての課題」をしっかりと中心に置くことであると個人的には考えています。

STEP8 アイデアを書いて保存する

つねにアイデアを書きとめろ。頭に浮かんだらすぐにアイデアを書きとめないと、それはすぐに消えてしまいます。いつどこにいようと、アイデアを書きとめろ。

次のように、どんなシチュエーションにおいても、アイデアが浮かんだら書きとめる方法をみつけ、確立させておこうと思います。

  • 眠ている最中にアイデアが浮かんだら、ベッドの脇に置いたノートに書きとめる。
  • 会議中にアイデアが浮かんだら、ノートPCに打ち込む。
  • スーパーでアイデアが浮かんだら、スマホに打ち込む。

 STEP9 アイデアを引き寄せる考え方

人びとは自分が考えているものを手に入れる。なぜなら、自分が設定したプログラムに従って潜在意識が行動や思考、出来事を引き寄せるからだ

本書によれば、一流のイノベーターの最も重要な信念は「すぐれたアイデアを必ず見つける」というものであり、潜在意識はこの信念に非常に敏感に反応するとのことです。

たしかに、信念の強い人ほど実現する確率が高くなるというのは直感的にもわかります。

毎日、「目標を達成したい」と強く思い、少しでも達成に向かう行動をとっていきたいと思います。きっとそれにより、潜在意識も働きだすのではないかと信じてみたいです。

STEP 10 ハイパフォーマンス状態になる

精神状態がアイデアを生み出す能力に大きな影響を与える

本書では、ハイパフォーマンスになる条件を5つ挙げています。

  • リラックスしている
  • ワクワクしている
  • エネルギッシュになる
  • 心を開く
  • 自信にあふれている

なるべく、これらの状態を保てるような環境づくりをしていきたいと思います。

STEP 11 ゲームのように楽しむ

深刻な人にアイデアはほとんど浮かばない

生活を楽しむ時間を増やし、自分の目的やそれに対する情熱を感じることで、すぐれたアイデアを生み出せるようになりたいです。

なるべくそういう精神状態でいるように、明示的に動いてみようと思います。

STEP 12 完璧さより、たゆまぬ改善

最初から完璧なアイデアを生み出すことをめざすのではなく、多くのアイデアを生み出すことをめざそう。あとでいつでも改善できるのだから

最初から完璧を目指すよりも、小さく高速に改善を繰り返しすようなアジャイルのような考え方が、アイデア発想にも適用できると思います。

個人の目標に対する取り組みであれば、自分の失敗や不完全さについて自分自身で許してやりましょう。

組織で進めている場合、完璧を目指さざるをえないプレッシャーやリスクへの恐怖心はつきまといますよね。その場合は、少しでも味方を作って、失敗が許容される風土を作っていく必要があるかと思います。

STEP 13 既存のアイデアを取り入れる

すぐれたアイデアマンは現状に絶えず疑問をいだき、ルールや思い込み、固定概念に挑戦する

本書では、既存のアイデアから新しいアイデアを生み出すテクニックとして、「変形」と「7つの方法(置換、結合、調整、限定、転用、排除、逆転)」を紹介しています。

単純明快な技法ですが、現状をゆるがして大成功するビジネスを創造できるテクニックであるとのことです。これらの技法をテンプレ化しておき、アイデア発想の際に実際に使ってみたいと思います。

 STEP 14 失敗と偶然を歓迎する

創造性は確率のゲームだ。私は失敗するとワクワクする。失敗すればするほど成功に近づくことができるからだ

日常業務においても、たったの2-3回の失敗で落ち込んでしまい、やめてしまいたくなることって結構ありますよね。

今後は、「1度も失敗なんてしてなくて、うまくいかない方法を発見するのに成功したんだ」と常に自分に言い聞かせながら、胸を張りたいと思います。

また、本書を読んで、実は一流のイノベータこそ膨大なアイデアを実行し、熱心に失敗し、それを成功するための原動力にしていることがよく分かりました。だから、すぐれたアイデアを生み出す可能性を少しでも高めるために、より多くのアイデアを保存し、分析することが重要だと思いました。

そのために、今取り組んでいることと関係がなくても、できるだけ多くの人と話し、旅行し、本を読み、たくさんの趣味とを持ち、様々な事例に触れていくことをしていきたいです。

STEP 15 休息と運動でエネルギーを得る

すぐれたアイデアマンは、いいアイデアがコンスタントに必要なら運動が不可欠であることを知っている

ずっと考えていた問題が体を動かした直後に解決されることは、たしかにあります。

本書によると、運動は記憶力、気分、創造的思考を向上させるといます。また、十分に休息を取らなければ、エネルギーが足りなくなるとのことです。問題に行き詰まったら、寝るか運動するかどちらかをしようと思いました。

STEP 16 脳を創造的モードにする

脳が画期的なアイデアを生み出す場所の唯一の共通点は、仕事をしている時間の大半を過ごしている場所ではないということだ

ニューロリーダーシップ・インスティチュートのCEOデビッド・ロックが6千人以上を対象に、画期的なアイデアがどこで生み出されているかを調査したところ、「職場」が10%、「自宅」が39%、51%は職場でも自宅でもなく「旅行中、ジョギング中、カフェでの食事中、プールでの水泳中、海岸での散歩中、博物館を見学中」であったとのことです。

これは考える場所を変えれば変えるほど、より多くのアイデアを生み出す可能性が高くなることを意味しています。

本書では、脳を創造的モードにするための環境面の変え方について、自宅や職場の風景を変えてみる、散歩する、旅行をする、単純作業をする(左脳を停止させる)、入浴時に1-3のアイデアを考える、などを紹介しています。

また、併せて紹介しているテクニックでとくに効果的だと感じたのが「アイデアの猛攻撃」というものです。これは、2時間以内に課題に関連したアイデアを100個調べ、それらのアイデアの組み合わせや修正がどのように応用できるかを考えるというものです。

例えば、サービスのキャッチコピーを考えたいなら、同じようなジャンルの100個のキャッチコピーをウェブで検索してきて並べてみます。その時思い浮かんだアイデアを全て書きとめるというイメージであります。これはぜひ実践してみようと思いました。

STEP 17 雑談をしながらアイデアを磨く

自分の脳だけですぐれたアイデアを生み出し、修正し、改良すべきだと考えているなら、自分の想像力を限定して損をしている

いままで確かに、自分のアイデアは自分だけのもので自分で考えるべきだという、いま思うと愚かでやや傲慢な考えを持っていたことに気づきました。

自分の課題について多くの人の力を借りて、最終結果をよくすることに注力しようと思います。きっと格段にアイデアの質が高まるはずです。

STEP 18 有望なアイデアを選んで実行する

もし新しい製品をマーケットに投入したいなら、顧客の立場に立って「自分ならそれを買うだろうか?」と自問しよう

本書では、一つひとつのアイデアを直感的にカテゴリわけして消去・実行する方法を述べています。カテゴライズは「ダメなアイデア」「興味深いアイデア」「すぐれたアイデア」に分類します。

また、アイデアパートナーをつくることを勧めています。アイデアパートナーは、ばかげたアイデアでも恐れずに共有でき、正直に批判してくれる人を選ぶとのことです。


STEP 19 生みの苦しみの壁を乗り越える

「夢をかなえるまで苦しみに耐える覚悟ができている」と自分に言い聞かせるなら、あなたは大成功を収めるだろう

たいていの人は、自分のアイデアに対し批判的かもしれないし、「うまくいかない理由」ばかりを探されて気持ちが沈むかもしれないけど、「何と言われようと、とにかくやってみよう」と自分に言い聞かせて自分を突き動かしていきたいと思いました。

STEP 20 創造性の筋肉を鍛え続ける

創造的な思考を練習するほど、すぐれたビジネスのアイデアを思いつく時間が短縮され、そのプロセスがますます楽しくなる

たしかに、才能よりも努力と継続が大事だと思います。

アイデアマンにせよスポーツ選手にせよ、とにかく粘り強く努力を継続している人が最後に勝つんだと、そう信じて、楽しんで、自分の目標に向かってアイデアを出していきたいです。

 まとめ

自分にとって本当に良書でした。

本書の内容をしっかりと実践し、改善を繰り返し、自分の血肉にしていくことで、「自分もすごいアイデアマンになれるのではないか?」とワクワクした感覚を得られた一冊です。

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